告白
文化祭費は払っておいたから気にしなくてもいいよと担任の先生はそっけなくそう言った。
家庭の事情で公立高校の授業料は免除になっていたが、我が家の家計が苦しいことを重々承知だった先生の暖かさが身にしみた。
堂々とアルバイトが出来るようにと特別の許可を学校に取り付け、アルバイト先も訪ねてくださった。
アルバイト先の採用担当者も本当は高校生は採らないんだけどね、と前置きし、僕も同じような身の上なんだよ、と採用してくれた。
友人もみんな暖かかった。
その後のアルバイト先の小さなレストランでも、いつも多めにアルバイト代が入っていた。
不幸だと思っていたあの頃を思い出すと、周りの人々の愛に恵まれたなんという幸せ者だったのだろうと感じ入る。
告白 湊かなえ 双葉社
★☆☆☆☆
教師の幼い娘が勤め先の中学で事故死した。しかし、事故ではなく彼女が受け持ったクラスの生徒による殺人だという。真相は、そして彼女の意図とは・・。
エイズ、夜回り先生、家族に毒薬を使用した生徒とどこかで聞いたような境遇の登場人物がテンコ盛りだ。
読み進むうちにやりきれない思いが膨らんでいく。良い人間が一人も出てこないのだ。どこかに光明があるのではと思いながら頁をめくったが、結末も最悪だった。
善人そうに振舞っている人間も全て本性は悪であるという考えのもとに作品が描かれている印象を受けた。たった一人のかけがえのない子供を殺された母親が、復讐を誓う気持ちは痛いほどわかるが、あまりにも救いがないのだ。作者は問題提起をしたかったのかもしれないけれど、後味の悪い読後感が残るばかりだ。なぜこのような作品が本屋大賞なのか理解に苦しむ。売るためなら作品の思想などどうでもいいのだろうか。
世に広く受け入れられている作者はやはり根底に人間愛がある。私は人は愛深く強く素晴らしい存在だと思う。
著者:湊 かなえ
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告白
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