見仏記 海外篇
空気が張り詰めたように透明になってくるこの季節は、夏よりなんだが眩しい。
光自体はそれほど強くないのに太陽の位置が低く感じられるのだ。
私を取り巻くもの全てがオレンジ色の日差しに照らされ、輝いている。
その一つ一つの輝きに思わず感謝する。
見仏記 海外篇 いとうせいこう・みうらじゅん 角川書店
★★★★☆
韓国、タイ、中国、インドへ仏像を見るための旅の日記。いとう氏が文章を、みうら氏がイラストを担当している。楽しくライトにそして真面目に仏像を見るための珍道中。二人の思い込みたっぷりのこの本は、それでも色々考えさせられた。私もそうだけれど、日本人にはこういうタイプの人間が一番多いのではなかろうか。サムシンググレートへの畏敬は心の底にあるけれど、それを大げさに振りかざすのに危うさも感じているのだ。
海を渡ると仏像はカラーが一般的らしい。韓国はなで肩で黄色が効いていて、中国のものは緑と青が目立つそうだ。インドは大理石のものがあり、ヒンズーには仏像の源があるという。
涅槃の像を見に行く10時間近い過酷な道のりで、いとう氏が猛烈な自己反省と感謝にかられているくだりがあるが、出産の時同様の気持ちを抱いたことをふと思い出した。
韓国のいくつかの仏像が豊臣秀吉の軍によって壊されたままになっているという。信仰の対象を壊してしまうという暴挙、そしてそれを忘れないよう500年以上も保存しているという憎しみの形に、信仰とは、仏像とは、と考えてしまった。
著者:いとう せいこう,みうら じゅん
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