2008年2月27日 (水)

サムライカアサン

「私ね、この年になってもお母さんが恋しい。」

とその人は言った。

私より少し年上の、いつも穏やかに笑っている素敵な人だ。

可愛い二人のお嬢さんと優しいご主人と暮らしている彼女は、何の不自由もないように見える。

「時々、何もかも放り出して帰りたくなることがあるの。」

小さく続けてつぶやく。

それを聞いて少し胸がうずいた。

私は苦しい時だってそんな風に母を思い出したりしたことがない。私はもう大人で、母には母の人生があるのだから、とずっと自分を言いきかせてきた。

母親が恋しいと素直に言える彼女を、そんなにも娘に慕われる彼女の母親を本当に幸せだと思った。

サムライカアサン    板羽皆 集英社  漫画

  ★★★★★

高校生の一人息子たけしを精一杯愛するおかあさんと、温かく包み込むおとうさんの暖かく、涙が止まらないしみじみ心に染み入る物語。

このブログには漫画を取り上げまいと思っていた、この話と出会うまでは。タイトルと表紙を見る限り、この内容は想像つかないと思うけれど、全ての人にぜひ読んでもらいたい作品だ。

平凡な母親が子供にありったけの愛情を注ぎ、決してかっこよくないけれど、純粋でとても美しい。

仕事をバリバリとこなし、リッチで着飾っている母親がもてはやされて、つい自分もそうなりたいと思ってしまうけれど、考えてみるとそれは母親の都合ばかり。

美しくりっぱな母よりも、普段着でもニッコリ笑っているおかあさん、ふんわり暖かく安心できるおかあさん、美味しいものを作って待っていてくれるおかあさん、そして全てを許してくれるおかあさん、私だってそんなお母さんのほうがいい。

私はこどもにとってどんな母親なんだろう。

寛大なこどもに随分ゆるしてもらっているよな、やっぱり。

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