科学の扉をノックする
願いが一つだけ叶えられるとしたら、どんなお願いをする?とこどもが尋ねる。
そうねぇとしばし考えてみる。
普段はあれも足りない、これも不満足と思っているくせに、途端に何も浮かばない。
お金持ちになるとか、何か無いの?と重ねて聞いてくる。
もちろん私だって人並みの願いや悩みはあるけれど、大いなるチカラを使ってまで叶えたいような願いはないのだ。
今のままで充分だよと言おうとしてはたと思いつく。
いつまでたっても上達しないテニスの、素晴らしい才能が欲しい。
科学の扉をノックする 小川洋子 集英社
★★★★☆
7つの分野の専門家に作者が会いにいったルポ。
文系の筆者が科学について理解したことを書いているので、非常にわかりやすく面白い読み物だった。
私がとりわけ興味深かったのは、遺伝子学者、遺体科学者の項だった。
遺伝子をつきつめていくと万物が共通の要素から出来ていることがわかるという。見事なまでの規則性があり、サムシンググレートと呼ぶしかない力を感じると。
そして作者の遺体学者への思いのめぐらし方が、まさに作品のモチーフや作風と重なっていてルポなのか、小説なのかわからなくなるほどだ。
それにしても、私達は実に色々なものに囲まれて生きており、誰も気づかないようなものにも心を奪われて人生をささげる人がいることに驚く。
著者:小川 洋子
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