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2010年6月11日 (金)

どこから行っても遠い町

つつじの花が美しい季節になった。

空は青く、新緑が目に眩しい。

こんな日は外に出かけると気持ちがいいのになぁと思いつつ、

現実は仕事場の窓から見える小さな四角の空を時折眺めるのが精いっぱいだ。

こどもの顔を見ると、少し日に焼けているのに気づく。

すっかり活動範囲も時間も広がったんだ、当然と思いながら

もう初夏なのだと実感する。

どこから行っても遠い町  川上弘美  新潮社

  ★★★★☆

短編集。どの主人公も同じ町に住んでいて、みんな少しずつすれ違ったりかかわったりして生きている。みんな大事なその街の一部分なのだ。

魚屋、喫茶店、小料理屋。行きかう人たちの毎日。一生懸命生きているはずなのに、人生は時に思い通りには進んでいかない。若い時は努力すれば何でもかなう、手に入れられると信じてきたけれど、人生も折り返しを過ぎてくると、そうはいかないこともあると、否応なしに突き付けられることが往々にしてある。そんな時、ふと人は違う道を選んでしまうのだろうか。

どの話もすっきりした結末になっていないのだけれど、それがこの作品の良さで、すんなり読み進んだことだった。20代の私なら、きっと登場人物たちを理解できなかっただろう。前へ進めない人は意気地なしだと決めつけ、大切な人を傷つけ堕ちていく人間は許せないと。

人生に於ける価値というのは、人によって本当に違うのだ。そして誰もが必死に生きている、他人には決して理解できなかったとしても。それを第三者がとやかく言える権利はどこにもないのだ。

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