« メガロマニア-あるいは「覆された宝石」への旅- | トップページ | 英雄の書 »

2009年10月 9日 (金)

作家の犯行現場

真っ赤で大ぶりの華が日陰に咲いている。

燃える炎のようにも見える形の華を、不吉な華だと思い込んでいた。

彼岸のころに咲くからか、墓石近くに咲いていることが多いからか。

それとも自分の心の中にある、触れられたくない炎のような想いを思い起こすからだろうか。

作家の犯行現場 有栖川有栖 メディアファクトリーダヴィンチ編集部

  ★★★☆☆

ミステリーの舞台や作家にまつわる土地の紀行記。写真も多く、どの場所も興味深く読み進んだが、最も衝撃を受けたのが出羽三山湯殿山の「即身仏」の項。

堂宇に祭られているご本尊が、俗的な言い方をするならミイラなのだ。それは衆生を救うため上人となった修行僧である。一世行人(いっせぎょうじん)となり厳しい千日単位の山ごもり、水垢離などの修行を続け、木食行(もくじきぎょう)を行い上人(しょうにん)になる。肉体を清める目的もあるのだろう、五穀断ち、そして十穀断ちついには漆を飲むという。その後入定墓へ入りお勤めを続けながら死を迎える。死後三年三ヶ月が経過すると洗い清めて乾燥し、燻製したり、柿渋を塗ったりして厨子に納められるのだ。

なぜそのような生き方が出来るのか、それが自らのためなのか、本当に人を救うことになるのか疑問がとめどなく溢れてくる。すざまじい信仰心は感じられるものの、俗世にどっぷり浸かっている私には、苦しむ人に直接手を差し伸べるマザーテレサのような信仰の形の方が理解しやすい。きっと共通していることは、少しでも後に続く人たちの時代がより幸福になるようにということだろう。

作家の犯行現場 作家の犯行現場

販売元:楽天ブックス
楽天市場で詳細を確認する

|

« メガロマニア-あるいは「覆された宝石」への旅- | トップページ | 英雄の書 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

紀行文」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/155447/31712603

この記事へのトラックバック一覧です: 作家の犯行現場:

« メガロマニア-あるいは「覆された宝石」への旅- | トップページ | 英雄の書 »