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2009年9月22日 (火)

メガロマニア-あるいは「覆された宝石」への旅-

四つ角の隅で少年が二人、腕を上げ下げしている。

地面を見つめながら腕を直角に曲げ、指先を下にしてゆっくり動かしているのだ。

そうか、影をみているのだ。

じっと見つめる私の視線に気づいた少年たちは、ふっと意味ありげな微笑を浮かべたが、そのまま厳かな顔をして、その動作を続けた。

まるで何かの儀式でも行っているかのように。

メガロマニア-あるいは「覆された宝石」への旅-  

                    恩田陸 日本放送出版協会

  ★★★☆☆

中米への旅行記。旅行記だけではなく、旅先を舞台にした小説から始まりその結末で本が終わる。いかにも作者らしい旅で楽しく読み進んだ。数々のピラミッドやマチュピチュの街。焼け付くほどの強い日差しが射す日本の裏側にある標高の高い町。20日近い旅程で、作者は不思議な体験をする。それが本当のことなのか、夢なのか、はたまた彼女の頭の中の出来事なのかわからないけれど、そんな出来事が起こっても不思議でない気がしてくる。

この作者の「上と外」は傑作だが、グアテマラを旅することなく空想で書かれたというから驚く。才能が与えられている人間というのはいるのだなぁと素直に思う。

メガロマニア―あるいは「覆された宝石」への旅 Book メガロマニア―あるいは「覆された宝石」への旅

著者:恩田 陸
販売元:日本放送出版協会
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 マヤ文明とインカ文明を扱うNHKスペシャルの企画に合わせた出版のために遺跡めぐりをして書いた紀行文。  マヤ文明やインカ文明についての蘊蓄や遺跡のガイド的な説明はあまりなく、どちらかというとあまり詳しくない素人の立場で、行ってみて感じたことを個人的な感性で書いた旅行エッセイという感じです。写真はそれなりに挿入されていますが、観光ガイド的ないかにもの写真はほとんどなく、文章を読んでいてここは写真が欲しいというところを写真で押さえているわけでもなく、やはり著者の趣味的な入れ方だと思います。  私は、マ... [続きを読む]

受信: 2009年9月25日 (金) 23時12分

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