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2009年8月13日 (木)

訪問者

幼かった頃はまだのどかな時代で、お客さんが来ると「外で遊んでいらっしゃい」と言われたものだった。

そんな時はいつもそわそわして、ただ雑草を引き抜いたりして、あまり楽しくなかったことを思い出す。

お客さんが持ってきたお土産が気になってしかたがなかったのだ。

大抵、子供がいるうちだからと高価な洋菓子だった。滅多にケーキなど食べられなかったし、いかにも高級そうな缶の箱に入ったクッキーやビスケットは特別のものだった。

その日はプリンだった。ケーキ屋さんの本物のプリンよと母が言う。

お客さんが帰った後、待ちかねて食べてみると全然美味しくなくて涙が出た。どうしたのかねぇという祖母の声を聞きながら、「苦い」と言えず外に出て、カラメルの部分を外に吐き出した。こころが痛かった。

もっとも今では、苦いプリンを平気で食べるこどもと、美味しいねと一緒に味わうのだけれど。

訪問者  恩田陸  祥伝社

  ★★★☆☆

初老の兄弟が集う湖近くの豪邸に、事故死した映画監督の親友がやってきた。豪邸の持ち主だった女夫人も不慮の死を遂げているようなのだ。不可思議な死の真相は明らかになるのだろうか。

各章がほとんど同じ文章で始まっていて、いつどんな展開になるのかと思える導入だ。豪邸とその周囲だけで物語が進んでいき、そのまま舞台化出来そうだ。事実、この作者は芝居を題材にした小説もいくつか発表していて、そういったことも視野に入れているのかもしれない。

個人的な趣味の相違だとは思うが、「中庭の出来事」以外の芝居テーマの小説がイマイチだったように、この作品も恩田作品としては若干期待はずれだった。とはいっても、充分に面白かったのだが、期待値が高いのでどうしてもそう思ってしまう。

リセシリーズの新作はもう出ないのだろうか。

訪問者  /恩田陸/著 [本] 訪問者 /恩田陸/著 [本]
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