容疑者Xの献身
体調がすこぶる悪いので、夕食は出来合いの弁当で済ませることにする。
こどもが「お弁当おいしかったねぇ」と嬉しそうに言うので、大人気なく答えてみる。
「お母さんのご飯はそんな風にほめてくれないね。」
するとこどもはニッコリ笑って「おかあさんのご飯はもちろんおいしいよ。それに買ったお弁当はかたむいてるし。野菜がないでしょ。」
それはかたよっているというんだよ、という言葉はもったいないから言わなかった。
すぐにそんな言い間違いはしなくなるから。
そうしてありふれた沢山の難しい言葉で、話すようになってしまうから。
容疑者Xの献身 東野圭吾 文藝春秋 ミステリー
★★★☆☆
直木賞受賞作。隣人の母娘を守るため、天才数学者の石神がとった行動とは・・・・。
映画化もされ大ヒットした作品。話題になったので当時は敬遠していたけれど、今回図書館で見つけたので読んでみた。ドラマ化するのにぴったりの平凡なストーリーだなと思いながら読み進んでいたものの、やはり東野作品だけにラストのひとひねりが面白かった。でも、Xの動機がやはりいまいちしっくりこない。理が通れば人の道をそんなに簡単に外せるほど、人の命は軽いものなのだろうか。
私の勝手な思い込みかもしれないけれど、この話は作者にとっての全力投球の作品に思えない。『天空の蜂』の方がガリレオシリーズより数倍力作だと思うし、やはり最高傑作は『白夜行』だろう。直木賞はなんだか納得いかない作品が多い。諸事情があるのかもしれないけれど、作品ではなく人に与えるようにしたらいいのに。
著者:東野 圭吾
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