右岸 左岸
横になってテレビを見ているおっとを何気なく眺めると、いつの間にか増えている白髪に驚かされる。
こどもに指摘されて自分の白髪が増えていることにも気づかされる。
そうなのだ、毎日時は流れているのだ。音も無く、匂いも無く。
速さが変わるわけでもなく、どの人にも公平に。
流れ着く先は、どんな色の花が咲いているのだろう。
抗わず、無理せず、笑っていられるだろうか。
右岸 辻仁成 集英社 小説
★☆☆☆☆
左岸 江國香織 集英社 小説
★★★★☆
奔放に生きる茉莉と、彼女に恋するお隣の九の半世紀に渡る物語。九の人生を辻氏が、茉莉の人生を江國氏がそれぞれ描いている。
『冷静と情熱のあいだ』は二人の作品で一つの物語がより立体的に描かれていて大層良かったので、同じような作品を期待していただけにがっかり。あまりにボリュームがありすぎたのか。それでも左岸はいつもの作風で奔放でありながら透明感がある女性の生き様を、楽しんで読み進んだ。右岸は主役の男性が超能力者という設定な上、読み進んでいくうちに宗教家のようになっていく。前半は色事の描写ばかりで、一体作者はどうしてしまったのだろうという感想。女性に対する勘違いも年を追うごとに激しくなるように思えてならない。辻氏初期作品のファンだけに残念。
それにしても、相手がこれだけ作品を暴走させたのに、きちんと自分のカラーを壊さず、作品を仕上げた江國氏の腕前に脱帽。
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右岸 著者:辻仁成
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