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2009年4月30日 (木)

右岸 左岸

横になってテレビを見ているおっとを何気なく眺めると、いつの間にか増えている白髪に驚かされる。

こどもに指摘されて自分の白髪が増えていることにも気づかされる。

そうなのだ、毎日時は流れているのだ。音も無く、匂いも無く。

速さが変わるわけでもなく、どの人にも公平に。

流れ着く先は、どんな色の花が咲いているのだろう。

抗わず、無理せず、笑っていられるだろうか。

右岸   辻仁成 集英社 小説

  ★☆☆☆☆

左岸   江國香織 集英社 小説

  ★★★★☆

奔放に生きる茉莉と、彼女に恋するお隣の九の半世紀に渡る物語。九の人生を辻氏が、茉莉の人生を江國氏がそれぞれ描いている。

『冷静と情熱のあいだ』は二人の作品で一つの物語がより立体的に描かれていて大層良かったので、同じような作品を期待していただけにがっかり。あまりにボリュームがありすぎたのか。それでも左岸はいつもの作風で奔放でありながら透明感がある女性の生き様を、楽しんで読み進んだ。右岸は主役の男性が超能力者という設定な上、読み進んでいくうちに宗教家のようになっていく。前半は色事の描写ばかりで、一体作者はどうしてしまったのだろうという感想。女性に対する勘違いも年を追うごとに激しくなるように思えてならない。辻氏初期作品のファンだけに残念。

それにしても、相手がこれだけ作品を暴走させたのに、きちんと自分のカラーを壊さず、作品を仕上げた江國氏の腕前に脱帽。

右岸 Book 右岸

著者:辻仁成
販売元:集英社
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左岸 Book 左岸

著者:江國香織
販売元:集英社
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2009年4月19日 (日)

「婚活」時代

「ブログ見てください。」と若い彼らは言いあっている。

目の前にいるんだからお互いに話をしたらいいのに、と思いながら聞いていない振りをする。

大切なことや、心の叫びはみんなブログにあるという。

大事なことほど直接伝えないといけないし、ブログやSNSは不特定多数の人に発信する公のものなんじゃないかな、という言葉も飲み込む。

私にも見てくださいというので「私みたいな年上の人間が見てもいいの」と尋ねるとぜひと素晴らしい笑顔を返してくれる。

リアルと彼らがいう世界だけで生きてきた私は、しばしば混乱する。

でも思い至ったのだ。平安の人達が和歌を詠みあうそんな感じなのだと。あの時代の人間関係は歌を交し合うことでなりたっていたのだ。

そして恋は、実際の人となりよりも和歌の腕前が重要だったということに。

「婚活」時代   山田昌弘・白河桃子 ディスカヴァー携書 

  ★★☆☆☆

なぜ、現代の男女はなかなか結婚しないのか。その理由を解き明かす書。

女性にとって恋愛も就職も自由な時代になったが故に、女性は自分磨きをするほど縁遠くなり、男性はガラスように傷つきやすい心で理想の相手を待っている・・・これが現実なら、本当に怖い。この本では、男性には勇気を出し、そしてとにかく女性のいる場所へ行けといい、女性には男性に積極的にアタックしろといっている。

マスコミは「就活」、「婚活」と新しい言葉で次々に若い人達をいたずらに煽っているように思えてならない。人生の一番重大な選択であることは間違いないけれども、縁結び、という言葉もあるように、人智を超えた不思議なものが結婚にはあると思うのだ。当事者だけが努力しても結ばれない縁(えにし)はあるし、紆余曲折を経て一緒になる二人もある。

それに、始まりくらいロマンティックじゃないと長い結婚生活やってらんない。

「婚活」時代 (ディスカヴァー携書) Book 「婚活」時代 (ディスカヴァー携書)

著者:山田 昌弘,白河 桃子
販売元:ディスカヴァー・トゥエンティワン
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2009年4月10日 (金)

ハリー・ポッターと死の秘宝

自宅近くの川のほとりに素晴らしい桜並木がある。

例年家族で散歩していたのに今年はその機会を逸してしまった。

折角の絶景を逃すのも残念なので一人で出かけることにする。

華の盛りは少しばかり過ぎてしまっていて、葉桜混じりの桜だった。

けれど、花びらがはらはらと川面に散り行く様も美しく、遠めに並木を眺めれば、まだまだ充分美しい。

桜の香りのする風の中、大きく息を吸ってみる。

この国に生まれてきたこと、こうしてまたこの花を見上げることが出来たことをじんわりと感じて。

ハリー・ポッターと死の秘宝 J.K.ローリング 静山社 ファンタジー

  ★★★★☆

ハリーポッターシリーズ最終巻。

最後まで期待を裏切らず、スピーディーで面白く一息に読んでしまった。娯楽に溢れた現代の子供たちに、読書の楽しさを思い出させたという点で、功績が大きいと思う。そして人間の弱さや愚かさも描かれており、大人も充分楽しめる物語だ。

たった一つ残念なことは、この作品の日本語翻訳が児童書の出版に慣れた会社から出されなかったことだ。出版された続編を読む頃にはよほどのフリークでない限り、既刊の細かな内容や脇役は忘れていることが多いので、通常のシリーズものは、それまでのあらすじと登場人物が冒頭に紹介されている。しかしこの作品にはそれがないので、新しい巻を読み始めると横文字の名前ということもあり必ず混乱する。しかたがないのでそのまま読み進んでいくのだが、残念しきり。

そして今回非常に残念に思ったのは、表紙カバーの折り返しに最新刊の登場人物紹介があるのだが、下巻のある人物の説明を読むと、これまでこの話を読んできた人間なら、物語の真相が容易に推察できてしまうように書かれている。これは、あまりにひどい。これでは折角の読書の楽しみをあらかじめ奪われてしまう。

それに、上下巻セットでしか販売しないというのもどうかと思う。下巻を読まないという選択もあるし、四千円はきつくても二千円を二回なら買えるという子供もいるだろう。どちらかだけを再び購入したいということもあるだろうに、利益のことしか考えていないと感じてしまう。

作品が素晴らしかっただけに、他の出版社から出ていたらもっと良い本になっていたのではないかと残念なのだ。

「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻) Book 「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)

著者:J. K. ローリング
販売元:静山社
発売日:2008/07/23
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