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2009年2月11日 (水)

風に舞いあがるビニールシート

二月も半ばになってくると、クリスマス前から街に溢れていたイルミネーションもぐっと少なくなって心地いい。
私は偉そうなことを大きな声で言えるようなりっぱな人間じゃないけれど、やはり夜の街が光の洪水になるのは後ろめたい気がする。
温暖化が原因で沈み行く国があると知ってしまった以上、以前のように無邪気には喜べない。
こどもが歓声をあげて喜ぶ住宅街の電飾を見ながら、行くこともないだろう遠い南国をぼんやりと思い浮かべてしまうのだ。

風に舞いあがるビニールシート 森絵都 文芸春秋 小説
  ★★★★☆
直木賞受賞の短編集。国連の難民事業で死亡した元夫の死を、受け入れられない主人公の葛藤を描いた表題の作品も良かったけれど、私が好きなのは「鐘の音」。仏像修復士が依頼された寺の不空羂索(ふくうけんじゃく)観音像に心酔してしまう話が良かった。余りにも不器用で、周囲とぶつかり仏像に逃げ込んでしまう男の心。自分をなにがしかの人物と思いたい人間としての誇りとあせり。結末に救いがあるのはやはり御仏のお計らいなのか。
この作者はポジティブな人間観なのがいい。にんげんってなんだかんだ言っても、捨てたモンじゃないと思う。

風に舞いあがるビニールシート Book 風に舞いあがるビニールシート

著者:森 絵都
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