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2009年1月15日 (木)

最愛

通勤電車はずっと嫌いだった。

その時間が無駄だし、人が多すぎて不快なことこの上ないと。

ところが、随分久しぶりに勤めに出て、また通勤電車に乗るようになったら、非常に楽しいのだ。

吊り広告を眺めるのは面白いし、窓の外の景色もきれい。

ゆったりした気分で予定を確認し、メールをしたり、読書も出来る。

周りの人をこっそり観察するのも興味深い。

そして何より電車に乗ること自体が楽しい、私のためだけの時間を過ごせるということが。

この十年というもの、私の時間は全て誰かのためのものだった。

こんな風にささやかな幸せに感謝することが出来るなんて、人生無駄というものは何もないのだ、とまた気づく。

最愛    真保裕一   新潮社  ミステリー

  ★★☆☆☆

押村のもとに、音信不通だった姉が事件に巻き込まれたと警察から連絡が入った。姉が危険な状態であるにもかかわらず、夫は病院に現れない。押村は真実を知ろうと動き始めた。

主人公の姉に対する思い入れがしっくりこず、それは作者が男性で、私が女だから違和感があるのかと思いながら読み進んだ。強く、自分の生き方に自信を持つ女性と繰り返し主人公に言わせているのだが、境遇を言い訳にして周囲に怒りをぶつける短絡的な女性としか思えないのだ。落しどころにもがっかり。さすがの文章力で読まされてしまうのだが、姉の魅力がさっぱり理解できず、その結果、この作品の魅力が損なわれているような気がしてならない。

もっとも作者はそういう人間の弱さを描きたかったのかもしれない。身を持ち崩さずにはいられない人間、そしてそんな人に惹かれて一緒に落ちてしまう人間の業を。

最愛 Book 最愛

著者:真保 裕一
販売元:新潮社
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