« 2008年12月 | トップページ | 2009年2月 »

2009年1月31日 (土)

奇跡のリンゴ

小雨交じりの通勤時間帯、おっとを駅まで車で送る。

通り過ぎるバス停には、結構な数の人たちがならんでいる。

みな寒そうに背中を丸めている。

今朝は吐く息が白くなるほど冷え込んでいるのだ。

よほど寒いのだろう、小刻みに体を揺らしている人もいる。

さまざまな年齢の色々な服装をした人たちが並んでいる。

一人の例外もなく、バスがやって来る方向をひたすら見て立っていた。

奇跡のリンゴ-「絶対不可能」を覆した農家木村秋則の記録-  

                         石川拓治  幻冬舎

  ★★★★☆

不可能と言われた無農薬、無肥料でりんごを収穫する木村さんとその家族の成功までの軌跡。

夢に取り付かれた男はいい。ただひたすら夢を追っていればいいのだから。この本は、彼自身というより、彼の夢を黙って支え、信じ、共に歩いた家族の物語だと言える。婿養子を周囲から守った義父の心、勘当だといいながら夜中に野菜を軒先に置いていく木村氏の両親、膨大な農作業にひたすら従事した義父母と妻、彼が弱音を吐いたときにやめるなんて冗談じゃないと怒りを表した小学生の娘の姿に、何度も涙を拭いながら一息に読破した。

ようやく実がなってからも売れるようになるまでがまた一苦労。

今では彼のりんごは入手困難というほどだが、彼はお金には無頓着らしい。でも、農業の発展のためには儲からないと後に続く人がいなくなる。貧乏に耐えた自分の家族のためだけでなく、食物自給率が低いこの国の将来のためにも、りっぱな農業をすれば人が羨むような生活をできると世に示して欲しい。

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録 Book 奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録

著者:NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班,石川 拓治
販売元:幻冬舎
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月15日 (木)

最愛

通勤電車はずっと嫌いだった。

その時間が無駄だし、人が多すぎて不快なことこの上ないと。

ところが、随分久しぶりに勤めに出て、また通勤電車に乗るようになったら、非常に楽しいのだ。

吊り広告を眺めるのは面白いし、窓の外の景色もきれい。

ゆったりした気分で予定を確認し、メールをしたり、読書も出来る。

周りの人をこっそり観察するのも興味深い。

そして何より電車に乗ること自体が楽しい、私のためだけの時間を過ごせるということが。

この十年というもの、私の時間は全て誰かのためのものだった。

こんな風にささやかな幸せに感謝することが出来るなんて、人生無駄というものは何もないのだ、とまた気づく。

最愛    真保裕一   新潮社  ミステリー

  ★★☆☆☆

押村のもとに、音信不通だった姉が事件に巻き込まれたと警察から連絡が入った。姉が危険な状態であるにもかかわらず、夫は病院に現れない。押村は真実を知ろうと動き始めた。

主人公の姉に対する思い入れがしっくりこず、それは作者が男性で、私が女だから違和感があるのかと思いながら読み進んだ。強く、自分の生き方に自信を持つ女性と繰り返し主人公に言わせているのだが、境遇を言い訳にして周囲に怒りをぶつける短絡的な女性としか思えないのだ。落しどころにもがっかり。さすがの文章力で読まされてしまうのだが、姉の魅力がさっぱり理解できず、その結果、この作品の魅力が損なわれているような気がしてならない。

もっとも作者はそういう人間の弱さを描きたかったのかもしれない。身を持ち崩さずにはいられない人間、そしてそんな人に惹かれて一緒に落ちてしまう人間の業を。

最愛 Book 最愛

著者:真保 裕一
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月 8日 (木)

建築家安藤忠雄

こどもが頭の上で座布団を回している。

くるくる、くるくると神妙な顔で。

何してるの、とおっとが聞くと、

「かっぱになってるの」と大真面目に答えた。

建築家安藤忠雄  安藤忠雄  新潮社  自叙伝

  ★★☆☆☆

タイトルそのままである。筆者はあまりに有名なので経歴を書く必要もないくらいだが、現代日本を代表する建築家で、それまでは学閥のエリートしかいなかった建築界に、高卒で何のコネもなかった筆者が名をなし、今では東大の教授である。

もちろん秀でた才能はあったと思うのだが、彼は何が人と違っていたのかと考えた時に、一筋にひたすらに自分の理想を求め、妥協をせず、自分の才能を信じていたところにつきると思う。沸き出でるアイデアを頼まれもしないのに具体的に提案し、それが後で仕事に結びついたというところも面白い。きっと、建築のこと以外は、興味のない人なんだろうな。こういう生き方ができる人って、幸せだ。

建築家 安藤忠雄 Book 建築家 安藤忠雄

著者:安藤 忠雄
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月 3日 (土)

竹中式マトリクス勉強法 

新たな年が明けた。

いつもと同じように時間が過ぎているだけなのに、お正月、というだけで新鮮で特別な気持ちになるから不思議だ。

学校を出てしまうと、毎年環境を変えて新鮮な気持ちを持続する、ということがなかなか難しい。

だけど新年を迎えると、なんだか色々なことを新たに出来たような気がして嬉しい。

さぁ、初詣も出かけたし、今年はどんな素敵なことが待っているのかな。

竹中式マトリクス勉強法   竹中平蔵  幻冬舎

  ★★☆☆☆

勉強法のハウツー本。勉強を仕事を成功するためのものと人生を豊かにするためのものに分け、それぞれゴールのある勉強と継続する勉強を整理する座標軸を作る、というもの。

英語の勉強法は面白い。話す内容や発音が似通っているから、日本人の英語達人の英語を真似る、というものだ。

筆者は学者だけあって、勉強が趣味なのだなぁとつくづく感じ入る。中学卒業時には、高校三年分の勉強は既に済ませてあったというところには、さすがだなぁと感心するばかり。働き出してからも、資格取得のために勉強を続け、そのために飲み会を中座する方法までこの本で披露している。

誤解を恐れずに言うならば、この人の勉強は、趣味でスポーツをしたり楽器を演奏したり、というものと同じレベルのような気がしてならない。知識遊びとでも言おうか。筆者はそれが全部お金に結びついているから大臣までなることができたのだろう。でも、平凡で全くかまわないから、自分が幸せと思うことをした方がいいんじゃないかな。だから私は進歩がないのかしらん。

竹中式マトリクス勉強法 Book 竹中式マトリクス勉強法

著者:竹中 平蔵
販売元:幻冬舎
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年12月 | トップページ | 2009年2月 »