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2008年11月 9日 (日)

うたう警官

「若いというのは、恥ずかしいということです」

以前読んだ本にそんな一文があった。

当時の私はまだうんと若くて、その言葉を笑い飛ばしたものだった。

しかし月日を重ねて、自分を振り返るような年齢になってくると、その言葉が時折思い出されるのだ。

そして、実感させられてしまう。

未熟なあの頃の私、不遜なあの頃の私、思い上がったあの頃の私。

そんな自分を思い浮かべると心の底から恥ずかしいのだ。

なかったことに出来ればどれほどいいだろう。

すこしは分別がついた今の私なら、もっと上手に振舞えたのに。

けれど、蒼かったあの頃を思い出して、それでも私はこう思う。

「若いというのは、素晴らしいということです」

うたう警官  佐々木譲 角川春樹事務所  ミステリ

  ★★★☆☆

婦人警官が殺害された。次の日には彼女と個人的な付き合いのあった警察官が指名手配され、射殺命令も下された。異常とも思える迅速な展開に、彼を信じ、組織に疑問を持つ人間達の極秘操作が始まった・・。

テンポがよく、一気に読破した。警察内部をテーマにした小説を読むと、フィクションであるとわかっているのに、つい憤ってしまう。学歴が高いというだけで別格扱いされるキャリア組の腐敗。なぜ、現場で地道で辛い捜査を重ねて経験を積んだ人間がトップに登っていかれないのか。実力のある人間が登用されてしかるべきなのに、最初から昇進の道を分けてしまう必要性があるのか。社会の恥部、嫌なこと、苦しいこと、悲しいこと、許せないことばかりを扱い、世の中を守る仕事なのだからこそ、内部の人間に優しい組織であるべきなのにと。

・・・もっとも、私を含め家族友人知人に警察関係者はいないので、腐敗の真偽のほどはわからないのですけれども。

うたう警官 Book うたう警官

著者:佐々木 譲
販売元:角川春樹事務所
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