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2008年4月 9日 (水)

此処彼処

春になると、この時期しか食べられない野菜が沢山出てきて心が弾む。

ふきのとう、たらの芽、うるい、うど、ふき、たけのこにえんどう豆にそら豆とどれもこれもいい香りがするものばかり。

少々値が張るけれど、この時期だけなのだからと自分に言い聞かせ、ささやかな贅沢をする。

これらはいずれも私の大好物なのだが、実は大人になって初めて食べたものがほとんどなのだ。

それというのも母が匂いの強い野菜がニガテだったからだ。匂いのするものと言えば、大葉くらいで、みょうがさえも食卓に上がったことがなかった。

それなのに、母が大好きでこの時期に繰り返し出されたものがある。

豆ご飯である。

私はそれが大嫌いだった。

こどもにはえんどう豆は青臭く、おまけに忙しい母は、炊飯器に直接豆を入れて炊き込むので、豆の色がどんよりとしていて、それを見ては大きなため息をつきながら、無理やりかきこんだものだった。

今では、豆ご飯も懐かしい味がして大好きになった。

料理本通り作った翡翠色のえんどう豆のご飯を食べながら、つらつら幼い頃を思い出す。

此処彼処      川上弘美  日本経済新聞社  エッセイ  

  ★★★★☆

場所について書いたエッセイ。

これまで私が読んできた筆者のエッセイは、独特の世界観があって好きだったけれど、自分自身についてはほとんど書いていなかった。けれどこの作品はこどもの頃のこと、新婚旅行のことなどが書かれてあって、ファンとしては本当に興味深かった。

母親どおしの付き合いに疲れて車を走らせるくだりは、なんだか身につまされて切なかったけれども、私だけじゃないんだとなんだか楽になった。

また、川上さんのこんなエッセイが読みたいものです。

此処 彼処 (ここ かしこ) Book 此処 彼処 (ここ かしこ)

著者:川上 弘美
販売元:日本経済新聞社
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受信: 2008年4月13日 (日) 07時42分

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