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2008年4月21日 (月)

空中ブランコ

私は社交的だと思われているけれど、人付き合いが苦手で「嫌」と言えない性格だ。

そのせいで損な役回りばかりさせられている気がして、時々無性にやりきれなくなる時がある。

私とは違って、いつも要領よく立ち回っている人がいる。

何もしないで批判ばかりしている人がいる。

だけど私は、そんな風に振舞える人をうらやみながらも、やっぱり自分を変えられないのだ。

そうしてため息をつきながら考える、果たして私はそんな人間になりたいのだろうかと。

こどもには自分のことしか考えない人になってはだめよ、と言うだろう。

そうだった、こどもの頃は他人に尽くすりっぱな人になりたいと心から思ったのだった。

ほんの少し子供の時代の夢がかなっていると思えばいいのだ。

あの頃の私がなりたいと思ったような人間に、果たしてなれているのだろうか。

空中ブランコ     文藝春秋  奥田英朗  小説

  ★★★★☆

イン・ザ・プール    文藝春秋  奥田英朗  小説

  ★★☆☆☆

伊良部総合病院の地下にある精神科に、医学博士・伊良部一郎はいる。そこを訪れる患者たちは、注射ばかり打ち、大層個性的なこの医者に面食らい、彼のペースに振り回されてしまうのだが、少しずつ心の平静を取り戻していく。

『空中ブランコ』を読んで、なんだか私の苛立った心にも伊良部医師の治療効果があったようで、すがすがしい読後感が残った。凝り固まって、勝手にストレスを溜めていた自分にはたと気づいたのだ。子供のように自由に振る舞い、他人の評価などは全く気にしない彼の「性格は既得権なの」というせりふにそうだなぁ、あんまり善人面してもキツイだけかも、と素直にそう思ってしまう。

だから、その一作目である『イン・ザ・プール』を読んでみたら、伊良部医師があまりにも変人でマザコンに書かれていて、なんだかがっかり。だから、まだこの作品を呼んでいない方は、ぜひ、『空中フランコ』を先に読まれることをお勧めします。

空中ブランコ Book 空中ブランコ

著者:奥田 英朗
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イン・ザ・プール Book イン・ザ・プール

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2008年4月 9日 (水)

此処彼処

春になると、この時期しか食べられない野菜が沢山出てきて心が弾む。

ふきのとう、たらの芽、うるい、うど、ふき、たけのこにえんどう豆にそら豆とどれもこれもいい香りがするものばかり。

少々値が張るけれど、この時期だけなのだからと自分に言い聞かせ、ささやかな贅沢をする。

これらはいずれも私の大好物なのだが、実は大人になって初めて食べたものがほとんどなのだ。

それというのも母が匂いの強い野菜がニガテだったからだ。匂いのするものと言えば、大葉くらいで、みょうがさえも食卓に上がったことがなかった。

それなのに、母が大好きでこの時期に繰り返し出されたものがある。

豆ご飯である。

私はそれが大嫌いだった。

こどもにはえんどう豆は青臭く、おまけに忙しい母は、炊飯器に直接豆を入れて炊き込むので、豆の色がどんよりとしていて、それを見ては大きなため息をつきながら、無理やりかきこんだものだった。

今では、豆ご飯も懐かしい味がして大好きになった。

料理本通り作った翡翠色のえんどう豆のご飯を食べながら、つらつら幼い頃を思い出す。

此処彼処      川上弘美  日本経済新聞社  エッセイ  

  ★★★★☆

場所について書いたエッセイ。

これまで私が読んできた筆者のエッセイは、独特の世界観があって好きだったけれど、自分自身についてはほとんど書いていなかった。けれどこの作品はこどもの頃のこと、新婚旅行のことなどが書かれてあって、ファンとしては本当に興味深かった。

母親どおしの付き合いに疲れて車を走らせるくだりは、なんだか身につまされて切なかったけれども、私だけじゃないんだとなんだか楽になった。

また、川上さんのこんなエッセイが読みたいものです。

此処 彼処 (ここ かしこ) Book 此処 彼処 (ここ かしこ)

著者:川上 弘美
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2008年4月 6日 (日)

ほげらばり

久しぶりに家族旅行に出かける。

我が家としては大奮発の、飛行機あり、ホテルありの旅行だ。

ホテルにチェックインし、通された部屋はこじんまりとしてはいるが清潔でなかなか感じがいい。

家事もしなくていいし、私なりにセレブに過ごすのだ。

薄暗いのがニガテなので、点けられるだけの明かりを灯し、おもむろにテレビなどをつけてリラックスする。なんといっても優雅な休日なのだ。

普段、布団で眠っているこどももベッドに大ハシャギする。

スプリングもいいし、日ごろの生活疲れも癒えるに違いない。

真夜中、こどもが豪快にベッドからころげ落ち、その後はまた落ちやしないかとオチオチ寝られなかった私は、クマの出来た顔で写真に納まっている。

ほげらばりメキシコ旅行記     小林聡美 幻冬舎   紀行文

  ★★★★☆

サボテンのおなら  小林聡美・平野恵理子 幻冬舎文庫  紀行文

  ★★★☆☆

1993年末のメキシコ旅16日間の記録。

女社長Y氏、P編集者との旅の記録が筆者ならではの自然体で綴られていて、楽しい紀行文。「サボテンのおなら」はそのときの写真にイラストをふんだんに加えた本。ほげらばりを読んだ後に一読すると楽しさが倍増する。

とにかく彼らがどこへ出かけても小さなトラブルがついてまわり、それがなんだか可笑しくて、読み進んでしまう。必ず目論見は外れ、彼らの望みとは違う方向へ旅が進んでいくのもご愛嬌。プロレスラーのマスクを2枚も買ってしまう筆者も、流しの歌声に感激してチップを大盤振る舞いするY社長も、なぜか日本からテニスラケットまで持参してしまうP編集者も、旅行中だからこそ出てしまう素の人間性がなんだか微笑ましい。

タイトルの「ほげらばり」とはForget about it!のことだそうな。

ほげらばり―メキシコ旅行記 (幻冬舎文庫) Book ほげらばり―メキシコ旅行記 (幻冬舎文庫)

著者:小林 聡美
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サボテンのおなら (幻冬舎文庫) Book サボテンのおなら (幻冬舎文庫)

著者:平野 恵理子,小林 聡美
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