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2008年3月 4日 (火)

チェリー

この季節になると、桜の枝の周囲がほんのり桜色に見えてくる。

黒い細い枝で硬くなって寒い冬の間耐えてきたのが、嬉しそうにゆるやかに緩んでくるかのように。

不思議なもので、家をでる時に見える桜の開花を今か今かと望んでいるのではなく、ちょうどいい時期に今年も花開いてほしいと願う。

桜は別れの季節より、出会いや始まりに咲いてこそ相応しい花だから。

いろいろあっても、新たなスタートが明るい希望に満ち溢れるよう、そんな季節に街に咲き誇る花であって欲しいのだ。

どんなに苦しくても悲しいことがあっても、桜に包まれてまた新しく始めればいい、全ての人にとって春がそんな季節でありますように。

チェリー       野中ともそ  ポプラ社 小説

  ★★★☆☆

両親の離婚で突然帰国したぼくは、日本の中学に馴染めずにいた。発音の良すぎる英語も、たどたどしい日本語もからかいの対象になったからだ。そんな時、伯父がアメリカの家を売るため渡米する際、同行することになる。そこには大層風変わりな、伯父のかつての妻の母親モリーが住み着いていて、僕は彼女と過ごすことになる・・・。

アメリカ在住の作者が書いていて、アメリカの匂いが強いけれど、それがちっとも嫌味じゃない。内容も日本人が描くとドロドロしそうなのに、清らかに爽やかに感じられるから不思議だ。

周囲とずれていて居場所がない人々を暖かく包むモリー。現実には、少しも他人とずれていない人なんかいない。どんな人だって、自分だけの譲れない価値観があって、それを認めてもらいたい、愛されたいと望んでいるのだから。だから求めるだけでなく、できる範囲でいいから、愛を出していくことが大切なのだ。

作者の名前の「ともそ」、最初は誤植かと思った。最近のグループ名とか、名前とか、なんだか難しい。

チェリー Book チェリー

著者:野中 ともそ
販売元:ポプラ社
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