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2008年3月24日 (月)

異邦人

異国の人と恋に落ちて妹は旅立った。

その人との子供を授かり、その人の祖国へ向かうために。

会うたびに彼女は、少しずつ異国の匂いをさせていき、その国の人になっていく。

生まれ育った国の政治はわからなくとも、その国の選挙について熱く語り、

自分の国の歴史を姉妹で話し合ったことなどないのに、その国の歴史について教えてくれるのだ。

変わっていく彼女のことがなんとなく寂しいような、ほほえましいような。

けれど、食べ物は日本のものが恋しいらしく、梅干しにお味噌やおせんべいやらおまんじゅうといいながら、目を輝かせる。

そんな彼女の小さな興奮を見て、「うん、芯はまだまだこの国の人なんだなぁ」となぜかほんの少しだけ、安心する。

異邦人   P.コーンウェル 講談社  ミステリ

  ★★★★☆

スカーペッタシリーズ第14作。

イタリア旅行中のアメリカ人女性テニスプレーヤーが惨殺された。その事件は複雑にからむ事件の一端だった。

この作品が楽しめるところは、事件の内容だけでなく、長く続くこのシリーズのおなじみの登場人物たちの関係が時とともに変化していき、それが気になって新作が出るたびに読んでしまう。正直に言って、最近の何作かはあまりいい出来ではなかったように思うのだけれど、この作品は久々の秀作だと思う。

女主人公に20年以上も片思いを続けている元刑事マリーノが、作品を重ねるごとに魅力のない人物になっていくのが残念。私はこういう味のある脇役が大好きなのだ。マリーノをなんとかできないでしょうか、コーンウェルさん。

異邦人 上 (1) (講談社文庫 こ 33-26) Book 異邦人 上 (1) (講談社文庫 こ 33-26)

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異邦人 下 (3) (講談社文庫 こ 33-27) Book 異邦人 下 (3) (講談社文庫 こ 33-27)

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