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2008年2月 6日 (水)

六番目の小夜子

午前中の空いている電車に乗った。

高校生が停車駅から大勢乗って来る。

友達といるだけで楽しくて、嬉しくて、騒がしい年頃だ。

それなのにみんな一斉に携帯を開く。

同じ制服を着た同じような顔つきの子供たちが、同じ角度で下を向く。

無表情で口を半開きにして、無言のまま親指だけが動いている。

名刺くらいの小さな窓には何が映っているのだろう。

少しあごを上げて周りを見渡せば、素敵な出会いや発見が待っているかもしれないのに。

そんな素敵なことが起こるなんて、ありもしないと決めてかかって。

だけど、私にはいるのだ、電車の中で出会った人と結婚した妹が。

六番目の小夜子   恩田陸  新潮文庫  ファンタジー

  ★★★★☆

その高校にはいつからか生徒に受け継がれている伝説があった。その役割は前任者から選ばれた一人の三年生がつとめ、卒業式当日、在校生にこっそり引き継がれるという。それはサヨコと呼ばれ、代々のサヨコしか当人がわからない。そして今年は六番目のサヨコの年だった・・・。

文句なしに面白かった。サヨコを巡る不可解な出来事にミステリーなのかと思いきや、青春小説としても十分楽しめる。この作者が描く高校生は魅力的で、思わず自分の高校時代に思いを馳せてしまう。もちろん、人に誇れるような素晴らしいものではないけれど、振り返ってみると、私にだって切なくなるような純粋さや輝きが与えられていたと気づくのだ。

いつも思うのだけれど、文学賞というのは正当に作品に与えられていない気がする。作者の最高傑作というよりは、ある程度作者の実力が安定してからようやく選者が安心して与える、というような。『夜のピクニック』もよかったけれど、この作品のほうが断然面白いよなぁ、やっぱり。

『図書館の海』に収められている続編もよかった。

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