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2008年2月21日 (木)

サウスバウンド

週末の朝、カーテンを開けてみると一面雪が積もっていた。

雪が積もるのを心待ちにしていたこどもが、大きな声を上げて喜ぶ。

スキーウエアに手袋、毛糸の帽子に長靴といういでたちで、外へ飛び出していく。

次から次へと降り続く雪を暖かい部屋から眺めながら、週末に降る雪はなんて素敵な贈り物なのだろうと嬉しくなる。

もちろん、週末でも働いている人たちは沢山いるのだけれど、雪が大好きなこどもたちが思う存分遊べるのだから、やっぱり休みの日に降るのがいい。

いつのまにか近所のこどももやってきて、自分達の体くらいの大きな雪の玉を作り上げている。

こどもがおっとに雪ダルマを完成させてくれと、呼びにやってきた。

戻ってきたおっとに上手くできたかと尋ねると、腰が痛くてね、と苦笑いしている。

しばらくして外に出てみたら、大きな雪の玉が4つ並んでいた。

こどもは嬉しそうに、「イスを作ったんだよ。ここに座って、写真を撮ったよ。」とニッコリ笑って言う。

そうだね、雪ダルマもいいけど本当にすてきなイスが出来たね。

サウスバウンド   奥田英朗  角川書店  小説

  ★★★☆☆

両親が活動家出身の上原家は事件に巻き込まれ、家族そろって東京から父の出身地沖縄に移住する。体制嫌いの父親の方針で学校へいかせてもらえなかったり、妙な運動に巻き込まれたりしながらも、子供たちはおおらかな島の人たちと触れ合って、自分達の考えをもち、たくましく育っていく。

この話がいいと思うのは、活動家に肩入れせず、かといって人間性を全て否定するでもなく、批判するところは批判しながらも、そう生きざるを得ない人間をそのまま描いているところだと思う。大人になりきれず理想ばかり追い求める、余りに極端な親の考えを全ては受け入れられないけれど、子供は親を愛しているからその生き方は受け入れているのだ。現実には大人でもなかなか出来ないことだけれど。

ゆるせないと思った人も出来事も、大抵のことは時間が癒してくれると最近思う。苦しくてどうしても背負いきれない大きな荷物は、思い切って時間に預けて忘れてしまおう。いつの日にかきっと、今ほど痛まない自分に気づく。

サウス・バウンド Book サウス・バウンド

著者:奥田 英朗
販売元:角川書店
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