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2007年12月11日 (火)

恋愛寫眞 もうひとつの物語

夕暮れ時、ビルの谷間に紅の大きな太陽が沈んでいく。

音もなく、そして思いのほか速く。

夕日は、まるで強い力にひっぱられているかのように、ビルの陰に吸い込まれていった。

息を呑むほど美しくて思わず心の底がじんとする。

そんな光景に通りを行く人は関心もなく、家路を急ぐ。

けれど、私だって、規則正しくこんな営みが繰り返されていることに心を留めることもしないで、毎日を送っている。

人が見ていても、見ていなくても、ただきちんと自分の果たすべきことをこなす、そんな風に生きていかれる強さを持ちたい、そう願う。

恋愛寫眞 もうひとつの物語   市川拓司  小学館 小説

  ★★★☆☆

18の春ぼくらは出会った。子供のように小柄で風変わりな静流、そして、僕が一目で恋におちた魅力的なみゆきと。僕が本当の愛に気づいた時、静流は・・・。

主人公の誠人に思いを寄せる静流が魅力的に描かれている。地味で子供のような風貌ながら、才能もあり、一途に好きな男性に思いをよせる健気さが愛らしい。最後までいじらしくて胸を打った。作者独特の、小説の中でしかありえない結末がすごく良かった。

主人公の男性は己をよくわかっている誠実な人物であるけれど、コンプレックスが強く、大人の女性ならともかく、こういうタイプが若い女性にもてるってことはない気がする。

いつも思うのだけれど、この作者はもう少し、男性を魅力的に書いてもいいんじゃないかしら。

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