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2007年11月22日 (木)

ロンググッドバイ

夕暮れ時を過ぎて、低い声の男性が歌うウィスキーのCMソングが流れると、子供の頃、もう大人の時間だと思ったものだ。

CMは、その音楽にのせて風景が映し出されていくものだったと思うのだが、それが郷愁をさそってやたらと心細かったことを思い出す。なんだか自分が独りきりで置いていかれるような、そんな薄ら寒い不安。

時が経ち、氷と沢山の水で薄めたウィスキーを初めて口にしたとき、大人になったことが嬉しかった。

けれども知ってしまった、大人もやはり心細いのだということを。だからほんの少しのぬくもりを求めてお酒を飲むのだということも。

ロング・グッドバイ  レイモンド・チャンドラー 早川書房 ミステリ

  ★★★☆☆

酒に酔いつぶれたレノックスを助けたことがきっかけで、彼と友人となった私立探偵マーロウは事件に巻き込まれていく。大富豪のレノックスの妻は無残にも殺され、その後、レノックスも自殺したのだ。それは終わりではなく、始まりだった。

今風のスピーディーな作品と比べてしまうと、情景がとにかくたっぷり描かれていて、主人公の語り口が回りくどいが、この時代のハイソな空気を楽しむと思えば、マーロウの美学に基づいたキザ振りもいいのかもしれない。軽く酒を交わしただけで厚い友情を交わし、魅力的な女性には惑わされず、金銭にも左右されない。独り強い酒をあおり、理解されなくとも決して自分を曲げない。この時代のタフガイはかなりしんどそうだなぁ。

ロング・グッドバイ Book ロング・グッドバイ

著者:レイモンド・チャンドラー
販売元:早川書房
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