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2007年10月31日 (水)

推理小説

ずっと親になるなんて考えられないと思っていた。

おむつなんて汚いし、うるさいし、与えるばかりで自分の生活が犠牲になりそうだと。

それなのに、なんだか気づいたら母親になっていて、そしたら思っていたのとは全然違っていた。

確かにうるさくて、大変で、自由時間なんかない、そんな毎日だ。

けれども、こどもが私にくれたものはそんなこと比較にならないほど大きなものだった。

こどもがあんまり愛らしいので胸の下の方がきゅうとするし、マンガみたいに予想通りの行動をするから涙が出るほど可笑しいのだ。

一番素晴らしいことは、どんなことがあっても心からの愛を捧げてくれる。計算なし、偽りなし、見返りなし。

いついかなる時も小さな手で、そっといたわってくれる。

いつまでこんな幸せに浸っていられるのかなぁ。

推理小説  秦建日子  河出書房新社 ミステリ

  ★★★☆☆

睡眠時間も削り、なりふりかまわず職務を遂行する美人刑事・雪平が担当したのは、「推理小説」という原稿どおりの連続殺人事件だった。

途中までは良く出来ていて、意外な展開に驚かされたりもしたが、後半は結末が読めてしまうのが残念だった。愛情があるのに小さな娘に上手く接することが出来ない母親、と言う主人公の設定だが、描写にリアリティが感じられない。父親か、もしくは努力しても子供に愛情が感じられないというのなら、この作品のようなこともありかもしれないけれど・・・この話はドラマ化されていて、それを見ていないのでなんともいえないが、他の女優さんの顔がうかんだ。どんな出来具合だったのか、気になるところ。

推理小説 (河出文庫) Book 推理小説 (河出文庫)

著者:秦 建日子
販売元:河出書房新社
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2007年10月23日 (火)

初恋

近くの小学校の下校時刻、家路を急いでいると、後ろから自転車がゆっくりと追い抜いていった。

自転車でパトロールをしているおまわりさんで、小学校の方へ進んでいく。

向こうから黄色いカバーをランドセルにつけた、小さな小学生の男の子が一人で歩いてくるのが見える。

その子は自転車のおまわりさんとすれちがいざま、さっと敬礼をした。

おまわりさんは男の子の方を見て軽くうなずいた。

こちらに向かって歩いてくるその子の顔は、大層誇らしげだった。

初恋      中原みすず  リトルモア   小説

  ★★★☆☆

1960年代後半の学生運動一色という時代、ジャズ喫茶Bに亮を中心とする若者のグループがたむろしていた。高校生のみすずも仲間に加わり、寂しさをまぎらわすようになっていく。ある日、いつも冷めた調子の岸からあることを手伝ってほしいと頼まれる。それはあの府中の事件だった・・。

小さなエピソードが重要な意味を持っているところが何箇所かあり、あらためてその部分を読み返したりして、よく出来た話だった。

主人公のみすずが環境のために複雑な人間性になってしまうのは仕方ないとしても、他の登場人物は経済的にも能力も恵まれているにも拘らず、彼らが持っているこの時代独特の子供じみた反体制ぶりと自堕落さはお約束なのか。一体何が不満で、何に歯向かってるのか、彼ら自身も見失って空回りしている。やるせない読後感で、自分の蒔いた種は刈り取らなければならない、この物語はそう言いたかったのだろうか。

Book 初恋

著者:中原 みすず
販売元:リトルモア
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2007年10月15日 (月)

パソコン通信探偵団事件ノートシリーズ   

自転車をゆっくりと漕ぎながら、ぼんやりと午後の空を眺める。

うろこ雲だ。秋の美しい高い青空にキラキラと無数の雲が光っていた。

公園の子供たちの声に自分の幼い頃の思い出が浮かんできて、心がじんわりと温かくなる。

先のことなんか全く考えていなくて、一日が長かった頃。

空想したり、走り回ったり、その瞬間が世界の全てで、それが子供たちの特権だった。

今、子供たちは明日のことを考えなくてはならない。

明後日も来年も、そして受験のその先のことも。

今でも子供たちは空を見上げるのだろうか。

走り回って、そして疲れたら首が痛くなるくらい空を見上げていて欲しい。

パソコン通信探偵団事件ノート(パスワード)シリーズ   

松原秀行 講談社 ジュニア小説

  ★★★★☆

僕らはパソコン通信で行う電子塾の特別な教室、電子探偵団の塾生だ。6年生のマコト、みずき、ダイ、飛鳥、まどかたちはボスのネロのもとで、推理力を磨き、事件を解決しているのだ。

小学生の子供たちが信頼置ける成人のもとで、数々の体験をし、友情を育て、成長していく物語。子供向けの優しい文体と、謎解き、だじゃれ、そしてほのかな恋や小さな冒険で子供たちの興味をつかんで離さない。内容も文体も堅い課題図書ではなくて、こういう本を読ませてあげれば、読書嫌いの子供はいなくなるのではないだろうか。

長くシリーズが続いているので、1年しか時間が流れていない設定なのにワープロから、パソコン通信に変わっていくのもご愛嬌。

パスワードは、ひ・み・つ―パソコン通信探偵団事件ノート (講談社 青い鳥文庫) Book パスワードは、ひ・み・つ―パソコン通信探偵団事件ノート (講談社 青い鳥文庫)

著者:梶山 直美,松原 秀行
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パスワードで恋をして―パソコン通信探偵団事件ノート〈8〉 (講談社青い鳥文庫) Book パスワードで恋をして―パソコン通信探偵団事件ノート〈8〉 (講談社青い鳥文庫)

著者:梶山 直美,松原 秀行
販売元:講談社
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2007年10月 9日 (火)

ダーティ・ワーク

性別や年齢を問わず、血液型で性格を判断するのが好きな人が結構多いのに驚かされる。

ただのお遊びだとは思うのだけれど、人々のタイプをわずか4つに割り振ろうとするのには無理があるし、そんな不確かな方法で人となりを決め付けられるのは、なんとなく良い気持ちがしなかった。

だいいち、私は血液型を言い当てられたことがほとんどない。

以前はきちんと訂正をしていたけれど、ふと思いついてそれをやめることにした。

何型と言われても、はい、と肯定するのだ。

相手の人は「やっぱり!」と至極満足そうで、後で違うとわかっても面白がってくれる。

四方丸く収まるというものです。

ダーティ・ワーク    絲山秋子  集英社 小説

  ★★★☆☆

みんな自分の人生を生きている。過ちを犯したり、投げやりな時があったとしてもささやかに日々を送っている。望むと望まざるとに関わらず、人と縁を結びながら。

それぞれの話が実に良く出来ていて、短編集としても面白く読める。無関係に思える全ての話が上手くからまって一つの物語になっている。上手いなぁと思った。

私は学校を卒業してからは家族とも離れ、住むところを何度か大きく変えてきたから、薄れたり、切れてしまった縁が沢山あるけれど、ずっと同じ街で生きていくのってどんな感じなんだろう。同じ空と同じ景色、そしてどこかで繋がっている人たち。なんだかそういうのっていい。そんな風に思うのは郷愁?違う、この秋雨のせいだ。

ダーティ・ワーク Book ダーティ・ワーク

著者:絲山 秋子
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2007年10月 2日 (火)

夜は短し歩けよ乙女

新しくイタリアンの店が出来たと聞いたので、早速ランチタイムに行ってみる。

10人も入れば満席になるような小さな店で、黄色基調の内装にさりげない小物使いがいかにも女性好みの店だ。

お客さんたちは皆女性達で、楽しそうにおしゃべりしながら食事をしている。

私がスープを飲んでいると、作業服を着た中年の男性達が5人やってきた。

他の席が既に埋まっていたので、4人席に5人で座ったらしい。

きっと居心地が悪くて蕎麦屋が良かったなぁとか思っているんだろうな、などとおせっかいにも考える。

私のパスタが運ばれてきたので、さりげなく男性達の席を見る。

5人とも、膝に手を置いて無言で天井を見上げていた。

夜は短し歩けよ乙女   森見登美彦  角川書店 小説

  ★★☆☆☆

大学の後輩に恋してしまった主人公。二人の恋のゆくえは・・・。

数々の賞を取り、大人気の作家の作品なのだけれど、なんと言ったらいいのか、ナンセンス小説というのだろうか?奇天烈な展開は私にとってはかなり難解。作者は京都大学の院卒なので、私程度の知能ではこの小説の面白さを理解するのは無理なのかと思ってしまう。独特の文体は、大正の香りがして嫌いではないが、おちゃらけすぎの感じは否めない。

内容は至極シンプルで、これをここまで膨らませることができるのが才能なのか?こう感じるのは、私が時代の流れに取り残されているからなのかもしれない。

夜は短し歩けよ乙女 Book 夜は短し歩けよ乙女

著者:森見 登美彦
販売元:角川書店
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