« 私の夫はマサイ戦士 | トップページ | 夜の公園 »

2007年9月14日 (金)

凍りついた香り

バイパスを走る車の助手席からぼんやりと景色を眺める。

交差点で車が停まり、小さな芝生に立つ看板に気づく。

それは横長の道路標識のような形の看板を縦にいくつも貼ってあるもので、その界隈の飲食店の名前がずらりと並んでいる。

スナックや居酒屋というようなお酒の出る店ばかりだなぁと思って見ていると、下の方に控えめに、『男の心をかきみだす店』というのがあった。

一体どんな店なのだろう?絶世の美女がいるのか。それとも素晴らしいお酒?いやいやそんなことではなくて、と色々な想像が頭の中を駆け巡る。

全くどうして、女の心もかきみだす店らしい。

凍りついた香り    小川洋子  幻冬舎  小説

  ★★★☆☆

一緒に暮らし始めて一周年の記念にと弘之が自作の香水を贈ってくれた翌日、彼は仕事場の調香室で自殺した。弘之の死後初めて、彼が弟と連絡をとっていたことや意外な過去を知る。彼の真実を知りたくて、私はプラハへとやって来た。

恋人に前触れもなく去られ、次々に知らされる恋人のいくつかの顔。浮気をしていたわけでないし、社会的に問題のある行動もしていないけれど、自分には知らされなかった彼の姿を後になって突きつけられるのはどんなに辛いことだろう。誰よりも近くにいるはずなのに埋められない大きな溝。だけども自分自身を考えてみても、一緒に暮らしているからといって、相手の行動はほとんど知らないし、過去を詳しく知ろうとしたこともない。案外身近なことなのかもしれない。

凍りついた香り (幻冬舎文庫) Book 凍りついた香り (幻冬舎文庫)

著者:小川 洋子
販売元:幻冬舎
Amazon.co.jpで詳細を確認する

|

« 私の夫はマサイ戦士 | トップページ | 夜の公園 »

小説」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/155447/7936273

この記事へのトラックバック一覧です: 凍りついた香り:

« 私の夫はマサイ戦士 | トップページ | 夜の公園 »