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2007年4月26日 (木)

にっぽん入門

春の風はほのかに薫る。

少しぬるい様な空気にのって春の香りが漂ってくる。

明るい日差しの中、暖かいけれど強い風がいつもの香りを運んでくる。

幼い頃過ごした土地から遥か遠くまで来たというのに、あれから幾とせも過ぎたというのに、季節が廻ってくると、同じ薫りがすることに不意に気づくのだ。

そしてぼんやりと過ぎた日々を思い起こす。

にっぽん入門  柴門ふみ 文芸春秋 紀行文

  ★★★☆☆

筆者が子供の頃から憧れていた日本固有の文化、かまくら・たらい舟・鵜飼を筆頭として、日本の文化を味わうべく旅した本。旅の目的がかの地の名物は果たして楽しいのかどうか、ということであるからにして、折角見にいった祭りも途中で引き上げたり、その力の抜け具合がサイモン流。

キャラの濃い同行者たちとのくだらないやりとりも可笑しい。今度の休暇は国内旅行だわ、絶対!

にっぽん入門 Book にっぽん入門

著者:柴門 ふみ
販売元:文藝春秋
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2007年4月23日 (月)

いつかパラソルの下で

パイプオルガンの音色が突然響く。

新しく出来たショッピングモールを歩いていると、重厚な音楽が聞こえてきた。

心洗われる美しい旋律は神様に捧げられたものだと感じながら、耳を傾ける。

腑に響くような一つ一つの音たち。

明るい日差しのなかで真新しいパイプが光っている。

なんだか高尚な感じ、とひとり満悦する。

ふと演奏者はどんな人なのか気になって覗いてみると、Tシャツにデニムだった。

いつかパラソルの下で  森絵都  角川書店  小説

  ★★★☆☆

家族も自分もがんじがらめにしていた堅物の父の死後、父が部下と情事を重ねていたことがわかり、三人の子供たちは父の原点を求めて故郷へと向かう。そこで彼らが見つけたものとは?

最初の一行目から、あのジュニア小説の森さんが・・と驚いてしまったけれど、やはり森さんらしいラストで納得と言おうか、安心したと言おうか・・・。だけど、主人公の女性が悩んでいる理由がなんとなく陳腐で、それも男性作家が思いつきそうなのが残念。けれど、その点を除いては楽しんで読み進むことができた。人はとかく自分の不運を親や境遇のせいにしがちだけれど、きちんと己を見つめて自分を大切に生きていこうと感じた。

いつかパラソルの下で Book いつかパラソルの下で

著者:森 絵都
販売元:角川書店
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2007年4月18日 (水)

負け犬の遠吠え

子供が学校から帰ってきた。

なんとなく元気がないのでどうしたのか聞いてみると、身体測定があったという。

「あのね、背が高くなって、背の順に並ぶと後ろから二番目になっちゃったの。」

そういえば、随分背が伸びている。

「それで何が嫌なの?」と尋ねると

「後ろに一人しかいないから、すごく心細いんだよ。」

負け犬の遠吠え  酒井順子  講談社 エッセイ

  ★★★☆☆

数年前「負け犬」という言葉が流行語にもなった本。

女性の生き方が多様化して、かえって女性は生きていくのが難しくなったと思ってしまった。未婚、子なし、三十代女性のことを良くも悪くも色々書き連ねてある本なのだけど、作者自身結局満足していないのだ。専業主婦も、子連れのキャリアも、未婚の女性も数十年前に比べたら、格段に自由で、経済的にも恵まれているはずなのに満たされていない。経験していないことはわからないし、隣の芝は青く見えるのだ。人にどう思われるかということばかり気にしていると、息がつまる。幸せは自分の中にしかないんじゃないかなぁ。

負け犬の遠吠え Book 負け犬の遠吠え

著者:酒井 順子
販売元:講談社
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2007年4月12日 (木)

みじかい命を抱きしめて

家族で外食に出かける。

我が家としては、ちょっと奮発した気取ったお店である。

子供たちもほんの少し緊張気味で行儀が良い。

ワインも手伝ってか上機嫌で食事をしていると突然、「不公平だ」という声がした。

近くの席の、品の良い老夫婦のご主人の声だった。

話の内容が聞こえるほど近くはなかったし、機嫌が悪いようでもなかったので深くは気に留めなかったけれども、その後、「不公平だ」という言葉だけが何度も聞こえてきた。

けれども、そのご夫婦は終始楽しそうに食事をして、そろって幸せそうに席を立っていかれた。

みじかい命を抱きしめて  ロリー・ヘギ  フジテレビ出版  手記

アシュリー         アシュリー・ヘギ フジテレビ出版  手記

  ★★★★★

荒れた生活の中、17歳で出産した娘は2歳ほどで遺伝子の病気の一種、通常の10倍ほどの速さで老化していくプロジェリアと診断される。若すぎる母は自暴自棄に生きながらも決して娘を捨てようとはしなかった。経済的にも、精神的にも、そして娘の病状にも苦しみもがくロリー。そんな彼女の人生を救ったのは、やはりアシュリーなのだと強く思った。

12歳のアシュリーが「生まれ変わっても、もう一回私を選ぶ」と答えたくだりには思わず涙がこぼれた。

14歳のアシュリーのシンプルで感謝に満ち溢れた言葉は、それだけで生きている意味、愛の意味を語っている。私達の日々の生活の中には既に与えられているもの、感謝すべきことが沢山あるのにそれに気づかないでいることを、この少女に教えられた。

みじかい命を抱きしめて Book みじかい命を抱きしめて

著者:ロリー・へギ
販売元:扶桑社
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アシュリー ~All About Ashley~ Book アシュリー ~All About Ashley~

著者:アシュリー・ヘギ
販売元:扶桑社
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2007年4月 3日 (火)

アキハバラ@DEEP

桜の季節になると、いつもの風景が様変わりする。

枝から溢れ出すように桜の花々が一斉に咲く。

薄すぎず、濃すぎない過不足なく美しい桜色の花びらが示し合わせたように開く。

枝と枝が花びらで結ばれるように花開く。

そして最も美しい時に突然、人々の上に花びらが降り注ぐように、迷いなく豪華に花の時期を終える。

音を立てるわけでも、強い香りを発して存在を誇示するわけでもないのに、多くの人々の心を明るくしたり、切なくしたり、あるいはかき乱していく。

ほんの刹那の盛りのために、残りの日々をただ静かに過ごして。

私は一体こんな風に生きられるのだろうか。到達し得ない境地だからこそ、今日も桜を見上げてしまう。

アキハバラ@DEEP  石田衣良 文藝春秋   小説

  ★★★☆☆

少しずつ社会に適応し辛い若者達が集まって、画期的な検索エンジンを開発した。それが全て盗まれようとしている!アキハバラ@DEEPはどう対抗するのか?

意思のあるロボット「鉄腕アトム」などの話があったけれども、現在はPCソフトでそんな物語があるのだなぁと関心してしまった。私が子供の頃にはパソコンで動画を見たり、電話やメール、買い物をするなんて思いも寄らなかった。人間を取り巻く色々なものは驚くべき速さで様変わりしていくけれど、なんだか人間だけが相も変わらず悩んだり、苦しんだり、同じことを繰り返している。だからせめて自分を見失わず、急がず、欲張らずのんびり生きていこう。

アキハバラ@DEEP Book アキハバラ@DEEP

著者:石田 衣良
販売元:文藝春秋
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