間宮兄弟
おっとは早起きだ。
本当に感心するのだけれど、どんなに遅く帰ろうとも、どんなに深酒をしても、同じ時間にきちんと目を覚ます。ほとんどの場合、目覚ましより早く。
そして、恐ろしく長く時間をかけてひげをそるのだ。儀式のように、神妙に。
ブゥーン、ブゥーンという髭剃り器の低い音がお経のように響く。
結婚したばかりの頃は、やたら長いそのひげそりの時間について、いささか驚きもしたし、文句も言ってみた。
おっとはただ聞き流すだけで改めようとはしなかった。
いつしかあれほど耳障りだったおっとのひげそりの音が聞こえてくると、安心してうつらうつらし、その音が止まると不思議に目が覚め、さぁ一日のはじまりだ、と思うのだ。
間宮兄弟 江國香織 小学館 小説
★★★☆☆
徹信と明信は二人で暮らす30歳過ぎの独身兄弟。徹信がホームパーティーを開いたことから、直美、その妹の夕美と彼氏、徹信の同僚も加わった人の輪が出来ていく。兄の先輩の妻に思いを寄せる徹信と、大学生の直美への思いを抱く明信の恋のゆくえは・・・・。
この作者にしてはめずらしく男性が主人公で、ホームドラマのような小説。いつもの癖の強い女っぽい女性がほとんど出てこない何と言おうか、「江國風な作品」ではないけれど、朝の連ドラ感覚で楽しめた。この人の文体の独特の空気感が損なわれてしまうので、絶対映画化して欲しくないと常々思っているのだけれど、この作品に限ってはちょっと見てみたい。
|
間宮兄弟 著者:江國 香織 |
| 固定リンク
« ニッポニアニッポン | トップページ | ハミザベス »
「小説」カテゴリの記事
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 1Q84(2009.07.04)
- 科学の扉をノックする (2009.07.02)
- ホテルアイリス(2009.06.21)
- 家日和(2009.06.12)
- かつら美容室別室(2009.05.21)


コメント
男の人が是非女性に読んで欲しい作品だそうですね。男性心理が良く描かれているとか。
いつも書店で目立つところにあるので気になる存在の江國香織。まだ読んだことがなかったのだけど、知人から『冷静と情熱のあいだ-Rosso』を辻仁成のBlu版と共に借りています。
このコラボレーション、ゆっこさんは読んだことがありますか?もしありましたら赤青どちらの作品から読むといいか教えてください。
ご主人の髭剃り音を目覚ましに起きるゆっこさん、可愛い♪
投稿: ルギア | 2007年2月27日 (火) 17時11分
『冷静と情熱のあいだ』読みましたよ!私が読んだ本は二つの話が一冊になっているもので、一章ずつ交互に読んでいくようになっていました。ごめんなさい、どちらから始まったかは忘れてしまいましたが、最終章は、辻さんの文章でした。
投稿: ゆっこ | 2007年2月27日 (火) 17時25分
おお!そういう読み方があったか!!
今、手元にある2冊の文庫本を見たら、両方とも13章からなっていたので、Rossoを先に一章ずつ交互に読んでみます。
何だか楽しくなってきた~
どうもありがとう!
投稿: ルギア | 2007年2月28日 (水) 04時51分
こんばんわ。TBありがとうございました。
だんなさんのお話、とても素敵な文章ですね。
江國さんっぽいというか。視点が独特で、リズムのいい文章だと思いました♪
また遊びに来たいと思います。ではでは。
投稿: peco0102 | 2007年11月23日 (金) 23時56分
peko0102さん、こんにちは。
つたない文章を褒めていただいて、嬉しいです♪
大人になると、ほめてもらうことが少なくなるから、純粋に嬉しい。
こちらこそ、ブログへお邪魔しますね。
投稿: ゆっこ | 2007年11月27日 (火) 09時53分