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2006年12月29日 (金)

リトル・バイ・リトル

年の瀬はやることが沢山あって、なんだかせわしない。

そんな中でも読書は続けているのだけれど、このブログを始めてみて読書日記を書ける本と、そうでないものがあるのだなぁと気づいた。

どんな本でも作者は全力で書いているのだけれど、なぜか日記にできない作品もある。

世界観が違っても、あれやこれやと思いをめぐらして、日記にしてしまうものもある。

今年も、さまざまな本と出会えてホントに幸せだったなぁと思う。

リトル・バイ・リトル   島本理生 講談社  小説

  ★★★★☆

2度目の父とも離婚した母と、異父妹と暮すふみ。家庭のごたごたで、大学受験も見送りアルバイトをしていたふみは一つ年下の周と出会う。あらすじだけ書くと暗い小説のように思うけれど、主人公と同じくらいの歳の作者が描いている世界は、明るく優しさに満ちている。ふみに対する周の、幼いけれど誠実な好意の寄せ方は微笑ましくて、ほんわかした気持ちになった。この作家がこれから色々な経験をしたら、同じ内容でもきっともう少し違っていたと思う。若い人のピュアな世界観に癒されました。

リトル・バイ・リトル Book リトル・バイ・リトル

著者:島本 理生
販売元:講談社
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2006年12月18日 (月)

旅行鞄にはなびら

冬になるとどこか遠くへ出かけたくなる。

寒がりで、出不精なのになぜか無性に旅に出たくなる。

空気が澄んで景色が美しいからか、星が凛と瞬くからか。

多忙な毎日から身をかわしたいのか自分でもわからない。

結局いつもの窓際で、旅の本を読み、旅情を満足させる。

旅行鞄にはなびら  伊集院静  文藝春秋 紀行文

  ★★★★☆

絵画を見るために欧州を旅した筆者の紀行文。旅のエピソードに散りばめられた花々。この本を読み進みながら、筆者は女性にもてるだろうなと得心。女性が好きなトピックを、照れずに正面から語れる男性はそういない。紀行文やエッセイで心を突かれる言葉に出会うことはあまりないのだけれど、度々そんな文章があって、何度もそんな部分を読み返してしまった。さり気ないのにロマンティック、古めかしいのに嫌味でない言葉たち。もちろん好みがあるから、鼻に付く人もいるかも。

旅行鞄にはなびら Book 旅行鞄にはなびら

著者:伊集院 静
販売元:文藝春秋
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2006年12月11日 (月)

観覧車

今はどうだかわからないけれど、以前、ヨーロッパのその街には移動遊園地がやってきた。

時期になるとやってきて乗り物は組み立てられ、期間が終わるとまたバラバラに解体されて、次の街へ行く。

子供だけでなく大人達もこぞって出かけていく。

時々ネジが緩んだりすることもあるんだよ、などと聞いてしまったものだから、一番安全そうな乗り物を選ぶ。

観覧車だ。

ところが、その観覧車は、日本で「コーヒーカップ」と呼ばれている乗り物が、下から上へ、上から下へとまわっているのだ。もちろん、自分でカップを回すことも出来る。

観覧車のてっぺんはかなり高い。そこで、風を受けながらぐるぐる回るコーヒーカップ。

観覧車は決して安全で退屈な乗り物なんかじゃない。

観覧車  柴田よしき 祥伝社 ミステリ

  ★★★★☆

短編集。下澤唯は、失踪した夫が残した探偵事務所を守っている。哀しい傷を心に抱えた人たちの事件を解決していきながら、夫の失踪の真実に迫っていく。なんの説明もなく自分との生活を捨てた夫との時間を、否定することも、見限ることも、恨むことも出来ない女の悲しさが綴られていて、あっという間に読みきってしまった。だけど、、、この結末はあんまり!早く続編を出してください!同じ作者のRIKOシリーズの緑子は、手当たりしだいに周りの男性と関係を持って行くけれど、この作品の唯は、頑ななまでに一人の男性を思い続けている。そうやって、作者はバランスを取っているのかしら?

観覧車 Book 観覧車

著者:柴田 よしき
販売元:祥伝社
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2006年12月 6日 (水)

カラフル

ドライブに飽きてくると、こどもが「しりとりしよう~。」と言う。

張り切って早速始める。

「しりとり!」 「りす」 「するめ」 「めいろ」と順調に続く。

何順か廻って「いか」 「かるた」

そしてこどもの番になる。「た・・・た・・・食べ残し!」

つい吹き出してしまうが、続けていく。

「まめ」 「めだか」 「かい」

またこどもの番になる。「い・・・い・・・生きにくい!」

こどもは明るく笑っていたけれど、なんだか、ちょっぴり考えさせられた。

カラフル    森絵都  理論社 ジュニア小説

  ★★★★☆

大罪を犯した僕は二度と生まれ変わることが出来ない魂のはずだった。だが天使がやってきて、なんと僕は抽選にあたり、もう一度下界で挑戦する権利が与えられたと言う。そして一年の期限付きで、自殺した中学三年生の小林真くんとして生きることになった。けれど、真くんの家族も学校も最悪だった。。僕は果たして挑戦をやり遂げられるのか?

家庭や、いじめで悩んでいる十代の人たちにぜひ読んでもらいたい本。ほんの少し自分の見方が変わっただけで、ほんの少し自分の可能性を認めるだけで世界はぐるりと変わってしまうということ、真っ暗闇に感じてしまう世の中が、いかに鮮やかで輝いているのかが軽やかに描かれている。この世の人間は一人残らず大事な人なんだよ、あなたは周りの人に愛されているんだよと。

カラフル Book カラフル

著者:森 絵都
販売元:理論社
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2006年12月 1日 (金)

子盗り

新聞の投書欄をつい呼んでしまう。

さまざまな年代の人たちが、それぞれの主張を繰り広げている。

数日経つと反論などがまた掲載されたりして、十人十色というのは、本当だなぁなどと一人ごちる。

爽やかで、時に微笑ましく大好きなのは、十代の人たちの投書だ。

感動したこと、将来の希望や、感謝にあふれた良い文章が多く、批判や文句に満ちた大人たちの投書とは明らかに違うのだ。

ずっとそんなきれいな心でいてね、と思いつつ、今日も新聞を閉じる。

子盗り   海月ルイ 文芸春秋 ミステリ

  ★★★☆☆

子供のいない夫婦が子供を手に入れるためにしたことは・・・。手を貸す看護婦、望まない妊娠をした女性、各人の思惑が錯綜する。美津子が不妊に悩み、精神的にも周囲の人たちからも追い詰められていく様子が、実に丁寧に描かれていて圧巻。田舎の旧家では、今でも跡取り問題があるのだろうか。欲に駆られた人たちは、そんなにも残酷になれるのか。それに反して後半はページ数も少ないし、あっけなく解決した印象。少々ほっとしたラストではあったのだけど、どんな悪人でも、ほんのちっぽけでもいいから、良心があると描いて欲しかった。

子盗り Book 子盗り

著者:海月 ルイ
販売元:文藝春秋
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