ベターハーフ
私は以前、あまり刺身は食べなかった。
私が育った所はそんなに魚が美味しい土地ではなかった。
一人で暮らすようになってからは、贅沢だというのもあったし、何よりも一人で冷たい刺身をもそもそと食べていると、なんとなく寂しい気分になったからだ。
時々の外食の、和食定食なんかについてくる切り身いくばくかで十分だった。
ところが、結婚した相手は大の刺身好きだった。
とにかく刺身さえあれば何もいらないという人で、それはもう幸せそうに食べる。
そうか、今までの私の取り分もこの人が食べてしまっていたのだ、と思えるほどだ。
ようやく私は自分の取り分を取り戻して、世界がまた少し大きくなる。
ベターハーフ 唯川恵 集英社 小説
★★★☆☆
永遠子と文彦の結婚生活は結婚式が波乱の幕開けだった。花嫁の控え室に文彦の恋人が乱入し、自殺未遂を図る。そんな結婚生活が幸せであるはずがなく、関係は冷め切ったままそれでも別れない夫婦を描いている。
この小説の夫婦には愛情が存在していないのに、お互いを苦しめ浮気を繰り返す。だけど、現実には愛があるから苦しむのだと思う。家庭生活の不幸は、相手が恋しいからこそ期待し裏切られ、孤独のなかでもがく。愛を与えることが出来ず、相手を縛る自分自身に幻滅する。愛のかたちが悪くて苦しむのだ。素材は面白く、エピソードだけをなぞればどこかにある夫婦とも思えるけれど、愛情が全く欠落している二人が一緒にいる理由が希薄に感じられる。どちらか一方に愛がある設定ならもっと違和感無く読めたのにと思う。
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ベター・ハーフ 著者:唯川 恵 |
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コメント
「ケンカ」出来るうちは、お互いに、
一緒にやっていくために”こうして欲しい”とか、”もっと自分をわかって欲しい”っていう、
向上心があると思うけど、
「ケンカするのも面倒」って思ってしまったら、
もう終わりだよね。。
冷め切るってそういうことかなぁって思います。
投稿: TOMO☆エモン | 2006年10月15日 (日) 00時32分