お酒
私はお酒に弱い。コップ一杯のビールで真っ赤になる。
それ以上飲むと真っ青になって貧血になり、朝までうんうんと苦しむ羽目になる。
それでもお酒が嫌いではなくて、いつもちょっぴり口にする。
その日も友人と食事をしながらビールを飲んでいると、ビールのお代わりを勧められたので「もう飲めない。」と断った。
すると友人は「私もそんなに強くないのよ。」と真っ赤な顔をして言い、「だけどね、日々訓練しないとダメよ。」ときっぱりとした口調で続ける。
「ど、どうして?」と尋ねたら、
「来たるべき時のためによ。」と彼女は背筋を伸ばして言った。
古道具 中野商店 川上弘美 新潮社 小説
★★★★☆
中野商店をめぐるの人たちのラブストーリー。店主のハルオと愛人のサキ子、アルバイトのヒトミとタケオ、ハルオの姉のマサヨの恋愛がカワカミ調で描かれていく。重い内容もほんわかとした文体で、それでいて決して軽薄でなく描かれていく。この人の文体は、平仮名が多くて句点が少ない易しい言葉で綴られていくのに、突然古めかしい言葉が出てきたりして、それがなんともいえないリズムをかもし出している。まるで、辞典を眺めていて、「この言葉気に入ったぞ」と初めにことばありきで物語が作られているようにも感じる。まさか?・・わからない言葉は辞書をひけば、日本語力もつくことまちがいなし。
著者:川上 弘美
古道具 中野商店
販売元:新潮社
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